ぶらり街かど
阿佐海岸鉄道(徳島県海部町・宍喰町・高知県東洋町)

開通当時、仕事でかかわったことのある阿佐海岸鉄道。一度行ってみたいと思いつつ、ずいぶん年月が経ってしまいました。五月の初めだというのに、夏を思わせるような暑い休日。念願の阿佐海岸鉄道に乗車するため、始発の海部駅に向かって車を走らせました。

海部駅に駐車し、まずは、終点の甲浦駅まで行くことにしました。宍喰を経て、甲浦までわずか十一分ほどの短い列車の旅です。車中では、美しい海岸線を見ることができることだろうと、窓の外に目をやったのですが、なんとトンネルの連続。少々がっくりきていた私を、元気づけてくれたのは、宍喰まで行くというおばちゃんたちとの楽しいおしゃべりでした。

列車はあっと言う間に甲浦駅に到着。ここでも、駅のお世話をしているという元気な婦人会のおばちやんたちに出会えました。会長の志和勝美さん(五九)が案内してくれたのは、サーフィンで有名な生見海岸。そこは、まるで真夏のリゾート地。底抜けに明るい大勢のサーファーが波と戯れています。サーフィンのことなど何にもわからない私は、すっかり気後れ状態のまま甲浦を後にしました。

下りでは、宍喰駅で途中下車。駅の桑村允幸さん(五六)が竹ケ島に行くことを勧めてくれ、自家用車まで貸してくださいました。竹ケ島では、海洋自然博物館「マリンジャム」を見学、その後、今年オープンしたばかりの「ホテルリビエラししくい」で少し休憩して、海部行きの列車に乗り込みました。

旅の終わりに、海部駅で出会ったのは、友達を見送りに来たという高校生たち。海部のいい所教えて欲しいと頼むと、県の天然記念物に指定されている「ヤッコソウ」が自生するという妙見山に案内してくれました。秋に顔をのぞかせるということで、その姿は見られませんでしたが、にぎやかな高校生たちと、夕暮れ時の散歩が楽しめました。

阿佐海岸鉄道沿線には透き通った海があり、緑輝く山々があります。それに加えて、とても気さくであったかな人たちとの出会いがありました。

「やっぱり欣子さんは、人が好きなんやな。」同行した友人の言葉に、思わずうなづいてしまった私。今回の旅は、なんやかや、人間関係のことで愚痴をいいながら暮らしていても、やっぱり一人では生きていけない、さびしがりやの私が発見できた旅だったようです。

1997年5月掲載


思い出して一言

ちょうどこの頃、四国放送の番組でうちの3世帯同居のことを取材してくれている時期だったので、取材しているところを、おっかけ取材されて、なんとも不思議な感じになってしまいました。

でもディレクターの池上さん(女性)がとってもいい人で、一緒に行動するととても刺激になって充実した一日を過ごすことができました。(2000.2)


前回 ホームへ イラストマップへ 旅気分のインデックスへ 次回