ぶらり街かど
土成町(徳島県板野郡土成町)

「お互いよくがんばってるし、自分たちにごほうびをあげよう」なんて、勝手な口実をつけて、お正月、里帰りしていた妹とひそかに計画した「あったかまんぷくごほうび旅」。計画実行の日がやってきました。降りしきる冷たい雨もなんのその、おいしい物食べようといざ土成町へ。

土成町と言えば、やっぱり「たらいうどん」です。私たちは、まず、うどん作りに挑戦してみることにしました。

宮川内谷川沿いにある「道の駅どなり『餐(もてなし)の館』」では、手打ちうどんを始めて五十年という坂野明(81歳)さんが、分かりやすく手打ちうどんの指導をしてくれました。ぎこちない手つきでなんとか打ち上がった、ふぞろいなうどん。自分たちだけで食べてしまうのがもったいなくて、持って帰ることにしました。

昼食にと予約しておいたのは、御所温泉観光ホテルの名物料理「焼き石なべ」。魚、肉、野菜などがたっぷり入ったたらいに、カンカンに焼けた石を入れ、その熱で煮込む豪快な料理です。石を入れた瞬間の迫力を味わうのも楽しみのひとつです。みそ味のだし汁もおいしくて、まさに「あったかまんぷく大満足」といったところです。

食後の腹ごなしに、カモたちがスイスイ遊ぶ雨の宮川内ダム公園を少し散歩して、川沿いを上流に向かって車を走らせました。

宮川内谷川のせせらぎ沿いには、「たらいうどん」の店が並んでいます。まだ、おなかはまんぷくだったけれど、せっかく土成町に来たのに「たらいうどん」を食べないわけにはいきません。だしのきいた暖かいつゆをつけてツルッと一口食べはじめると、あっという間にたらいは、からっぽ。そのみごとな食欲には我ながら感心してしまいました。

土成町の旅、最終コースは、友成敏子さん(63歳)のイチゴハウスです。真っ赤に熟れた大きなイチゴと、白い花がかわいくて、食べると、甘酸っぱさが何とも言えず「んーっ」たまりません。思いがけず、食後のデザートまでいただくことができました。

いっぱい食べて、いっぱい話して、いっぱい笑って・・・。妹も私も今では、大家族家庭の主婦、二人だけのこんなぜいたくな時間が過ごせたのは初めてのことです。「すっごい幸せ!ありがと」妹はそう言いながら両手いっぱいにおみやげ抱えて、にこにこ帰って行きました。

おいしいごほうびをくれた土成町の人たちに、そして、私たちに「ごほうび旅」をさせてくれたそれぞれの家族に感謝感謝です。

さあ、また明日から頑張ろっと!

1998年1月掲載


思い出して一言

この取材の翌日、同行した妹は、おなかをこわしてしまったそうです。それくらいいっぱい食べて飲んで、大満足の旅でした。


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