街角ウォッチング
正法寺川親水公園(徳島県板野郡藍住町)

正法寺川親水公園に完成した、木造アーチ橋としては西日本一といわれる「みどり橋」。その下を申し訳なさそうに流れる正法寺川は、北を旧吉野川、南を吉野川の二つの豊かな川に囲まれた藍住町のほぼ中心部を流れています。決して美しいとは言えない小さな川だけれど、じっと眺めていると、子どもの頃の風景を思い出して不思議と懐かしさが込み上げてきます。

「あと20年もたてば、正法寺川は見違えるようにきれいになる。周りには公園もできて、町民の憩いの場になるだろう」。藍住町で生まれ育った私がまだ中学生のころ、担任の先生が話してくれました。でもその言葉は、当時の私にはとても信じられないことでした。そのころの正法寺川は雑草の生い茂るヘドロで埋まったドブ池同然だったのですから。

それからの私は、先生が話してくれたとうり少しずつ変わってゆく正法寺川とその周辺を見ながら暮らしてきました。やがてドブ池の水が流れるようになり、周辺の整備が進み、昭和57年にアスレチックを備えたスポーツ施設・みどりの広場が完成。さらに平成5年には、旧吉野川から水が導入され、少しずつ水質浄化が図られています。

今春完成したみどり橋は、親水公園全体のシンボル的存在で、そこはまさに地域住民のための散策の場所になったのです。

「ほんまにきれいになった」。昔の正法寺川を知る人たちは口をそろえてそう言います。最近、人の手で自然破壊され、自分たちの住む町が汚されていくことが多く、とても気になっています。でも人の手だって上手に利用すれば、本来の川の姿を取り戻すことが可能なことを親水公園は実証してくれた気がします。正法寺川の再生への地味な努力をしっかりと心にとめておきたいと思います。

それにしても20数年前の先生の言葉を覚えていてほんとに良かった。見慣れた風景がこんなに感慨深く、なんだかちょっとだけ得した気分です。

もう一度いろんなこと思い出しながら、あの「みどり橋」を渡ってみましょ。

1995年6月掲載


思い出して一言

第一回めは、景色のイラストを描いたのも、文章を書いたのも、取材などということをやったのもまったく初めてのことで、ドキドキものでした。案の定できたものは、ハチャメチャ。イラストは直しようがないけれど、文章書くのは、新聞社担当の方にとって朝飯前・・・。掲載された時は、私の文はどこに?状態。なんだかくやしくて情けなくて、大泣きしてしまいました。

ここに掲載した文は、手直しされたものに、もう一度私が手直ししたものです。
(2000.2)


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