街角ウォッチング
大浜海岸 恵比須洞(徳島県海部郡日和佐町 )

毎日暑い日が続きます。急に海が見たくなって缶コーヒー片手に、日和佐行き特急列車に乗り込みました。照りつける太陽に負けないよう深めに帽子をかぶり、のんびり日和佐を歩き始めると見えてくる厄除橋近くの親水公園。ここは薬王寺と日和佐城を一度に眺められるとってもぜいたくな場所です。

街なかを抜けると、涼し気な波の音。いよいよ海だ。ウミガメがやって来る大浜海岸。果てしなく続く青い海、白い砂浜、久しぶりです。こんなにステキな海を見たのは。

少し歩いて、恋人岬から見おろす大浜海岸も、まるで絵はがきを見るよう。その美しさに少しでもあやかりたいと、石段を降りて砂浜に転がる石をひとつリュックに入れました。にぎやかな蝉時雨に励まされ、海沿いを恵比須洞めざして歩きます。

まだまだ海岸線は続きます。キャンプもできる恵比須浜、恵比須浜橋を渡って阿瀬比ノ鼻灯台あたりまで足を延ばしてみました。

太平洋の荒波に侵食されてできた県内では最大の洞穴。遊歩道を降りると見えて来る大きな穴、そこから勢いよく噴出する海水。ものすごい波の轟音。間近に見ると怖いくらいの迫力です。少々厳しい石段を登りつめると太平洋を一望できる展望台、そして夫婦和合の神を祭る恵比須洞神社。留守番の夫のことをちょっとだけ思い出しながらお参りしておきましょう。

どこから見ても日和佐の海はステキで、海が見たかった私の気持ちを、充分満足させてくれました。それにもまして日和佐に住む人々のやさしさには、ほんと感激です。見知らぬ私に笑顔であいさつしてくれたおばさん、ジュースを買った店のおじさんが言った「ありがとう」さりげないけどほんとにやさしかった。 コンクリートに囲まれ時間に追われた生活の中、無愛想な対応に慣れてしまうのも悲しいものです。

美しい自然は人の心を穏やかにしてくれるようです。帰りの列車の中、同行した子どもたちとずいぶん話がはずみました。壮大な海を見せてくれただけじゃなく思わぬ親子のコミュケーションタイムまで下さった、日和佐の自然と人々に心から感謝してます。

1995年8月掲載


思い出して一言

取材中「ホテル白い灯台」で食事をしていたら、みるみるうちに霧で窓の外が真っ白になってびっくり。よく聞いてみると地元の人も驚くほどの濃霧だったそうです。まるで異次元にいるような不思議な気分でした。

この時一緒に行った次男と姪は、もう高校生になってしまいました。(2000.2)


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