街角ウォッチング
中尾山高原(徳島県美馬郡木屋平村)

月日がたつのはほんとに早いものです。気が付けばいつの間にか春まっ盛り。みんなが満開の桜を楽しんでいるころ、ひと足お先にゴールデンウイーク気分を味わおうと、中尾山(なこやま)高原へ。

穴吹から南へ、穴吹川に沿って車を走らせます。四国で一番の水質を誇る穴吹川、澄み切った緑の水が真っ白い水しぶきをあげて険しい山間を駆け抜けていきます。修理から帰ったばかりのポンコツ愛車、またまた大活躍、素晴らしい川の流れを横目で見ながらどんどんどんどん登ります。

木屋平村に入ったころ、軽い気持ちで出かけた私をあざ笑うかのように小雪が舞始めました。ゴールデンウイーク気分どころか冬に逆戻りです。山の自然の厳しさを思い知らせてくれたようです。

あまり運転に自信のない私、ハンドルを握る顔は真剣です。ゲートをくぐり、いくつかのヘアピンカーブをなんとかこなし、栗林を抜けて、やっとの思いで中尾山高原に到着。なんと標高千メートル、空がとても近いのです。

剣山を筆頭にぐるりと連なる険しい山々、何とも言いようのないみごとな見晴らしです。頑張って来て良かった。ドキドキする景観を楽しむこともさることながら、よく冷えたおいしい空気をおなか一杯味わうのも格別です。

高原には、いろいろな施設が設置され、心ゆくまで遊べます。中でも、シャキッと伸びた桧林の麓に位置する、四国でも唯一といわれるグラススキー場は有名です。でもグラススキーは草の上を滑るため、前夜から降り積もった雪で、今回は残念ながらおあずけ。運動音痴の私には幸いだったかもしれません。

ばたばたと時間に追われて、じっくり見つめることができなかった今回の取材、少し物足りなさを感じます。ほんとの木屋平を知るにはまだまだ時間が必要です。それでも、山や木や風の自然の息吹をからだ全体でしっかり感じ取ることができたことは確かです。

高原の風がさらに冷たくなり始めた夕暮れ前、ゴールデンウイークや夏休みには観光客の車がこの道を行き交うんだろうななんて思いながら山道を下ります。訪れる人たちには、木屋平の素晴らしい自然にやさしく接して欲しいものです。

1996年4月掲載


思い出して一言

正直言って木屋平村の取材は大変でした。二人の息子と一緒に行ったのですが、雪は降るし、寒いし、クネクネの道で息子たちは車酔いするし、帰りは道に迷って、も一つ山越えするハメになるし、あげくのはてにポンコツ車は山越えに耐えかねて止まりそうになるし・・・・。

これ以来息子たちは取材に付き合ってくれなくなりました。教訓! 地元の人の「ここからすぐじゃ」と言う言葉は信じないようにしましょう。私たち素人にとってはとんでもなく険しい道のりだったりすることがあるのです。(2000.2)


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